第52章 不如意
不運は幸運の元、幸運は不運の元。
私は自分の幸運を祈るから呪いを祓うことができ、代償として自分に不運が舞い降りる。
自分に不運を引き寄せれば、代償として私に都合のいいことが起きる。
私が致命傷を負ったのは、私が不運を引き寄せたからなのだろうか。
その代償として、”私が”灰原先輩がサイコロを振るように誘導したのか?
私が生きたいと願ったから、灰原先輩が死ぬように、先輩に不運を課したのか?
先輩は共犯だと言ったけれど…。
灰原先輩が死んだという不運に対して、私の肩を持つような発言を”貰った”のか?
それが幸だと言うのか?
まさか、ここで八乙女先輩と話したことが幸せだなんて言わないよな?
なんて
「ははっ…私、馬鹿だなぁ…」
あまりの滑稽さに、私は腰を下ろして腹を抱えた。
なるほど?
やっと先輩達と同じ土俵に立てた気がする。
八乙女先輩はどこをどう見たって発達途上の善人だ。
八乙女先輩の嫌味な発言の全ては、私のためにあったのだ。
それが私の幸せに繋がっていたのだ。
『やっぱりダメだな。私がこの間願ってしまったから…』
『…何の話ですか』
『いや、うん。やっぱり忘れてくれ。調子に乗ってた。悪い。やっぱり灰原が死んだのは私のせいだ』
『は?』
『ウルハは運を操作できる。いざとなれば灰原を救えたはずだ』
『そ、れは、つまり、私のせいじゃないですかっ。私が救えたはずなのに…』
この時私はどこかで思っていた。
先輩のせいだと認めれば楽になれる、と。
ほんの僅かな良心だけが、この時の私に言い訳を綴らせていた。
きっと、先輩はそれを分かっていたんだ。
『そうだ。私に運チョウダイ??最近ついてなくて』
だから────