第52章 不如意
「は…」
誰かの口から息が漏れた。
両腕失い札に纏われた男は、怪我と疲労で既に意識はなく、石畳の道に横になっている。
「…」
「…」
私は…私だけは、何があってもこんな風に皆を巻き込んだらダメだった。
「…ってわけでぇ、私が千夏ちゃんを誘ったの!『一緒にあそぼー』って」
私の初めての友達は、私のことをよく観察している。
「はい、お話終わりっ!皆ぁ、質問あるかなぁ?今なら特別に!わたしが答えで差し上げようじゃないかぁ〜!」
本当によく、観察して…対応してくれる。
「ねぇ」
「はい!どーぞ!」
「お前は…その時、いたのか?」
「いないよ?私と千夏ちゃんが出会ったのって、それから1年くらいあとだもん」
「じゃあ、なんでこいつのこと知ってたの?」
「教えてくれたの」
ちらりと視線が合えば、ニコッと微笑まれて。
(私が…教えた?)
こいつの話なんて、したことない…はず。
「待て。お前、やっぱり千春と…」
「きゃはっ…流石、君は頭の回転が早い」
ボォン、と。
──ちゃんの頭が巨大化…というか、体の修復を始めたようで。
悟がすぐさま反応したが、──ちゃんの目的は1つ。
「おいで」
私だけ。
──ちゃんの目には私しか写っていない。
私が近くにいれば、悟にはじまり皆誰も、──ちゃんには手を出さない。
出せない。
あっという間に私を抱いた──ちゃんは、私の首に手をかける。
気持ち悪さが体を巡り、体の芯がその感触を拒む。
「千夏ちゃんを理解してるのは私だけ」
「千夏から離れろ」
「誰に物言ってんの。千夏ちゃんを生かすも殺すも…私次第なんだよ?」
生かすも…殺すも?
「千夏ちゃん♡ずぅっと、一緒にいよーねっ」
──ちゃんの奥で、みんなの顔が歪む。
悟も、七海ちゃんも、ウルハも、パンダも、棘も、真希も、野薔薇も、悠仁も、野薔薇も…、皆こっちを見て