第52章 不如意
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「千夏ー、ちょっとこっち来て」
原宿で売ってそうな可愛いゴスロリ服。
私は着たことがないけれど、機会があれば1度着てみたい。
「うん」
目の前にいる七海ちゃんとの言い合いは既に収束していたが、依然と睨まれる私。
「あ、最後に」
「…何ですか」
「そのネクタイ可愛い♡」
からかうような言えば、七海ちゃんはここぞとばかりに怒りを露わにする。
けれど、私は悟に呼ばれているので、その罪を今は償えないけれど。
「千夏ちゃ〜ん!」
───ちゃんは頭しかないのに、ニコニコと笑っている。
それが不気味で仕方ない。
「コイツ、千夏に祓って欲しいんだって」
「…悟がやらないなら、私がやる」
「ん」
良かったねーって。
悟が──ちゃんの頭を撫でる。
今のうちに逃げればいいのに。
──ちゃんならできるのに。
「それでねぇ、千夏ちゃん。私が消える前に話さないといけないことが2つあって」
1つはぁ…と。
「千夏ちゃんが領域展開した理由」
ギュッと。
胸が潰れそうになる。
「…話したくない?」
悟が優しく問いかける。
(話したくは…ないけど)
話せるほどの冷静さをもっているとは言えないし、第一思い出したくもない。
先程、殺されかけたことさえも…今この瞬間忘れていた。
頭から消し去っていた。
「大丈夫」
上手く笑えてる自信が無い。
きっと悟も気づいてる。
「…皆にも話さないとねぇ」
「うん」
「そんじゃ、五条悟!みんなのこと呼んで来て〜」
「…はいはい」
ぽん、と。
悟は軽く頭に手を乗せて、みんなの所へ向かった。
「千夏ちゃん」
神社の砂利に無造作に置かれた──ちゃん。
「大丈夫だよっ」
ああ…
どうして?
どうして──ちゃんがいなくならないといけないの?
こんなに優しいのに…