第52章 不如意
さっきまで私達は道路の真ん中にいたはずだ。
なのに、今私達がいるのは────神社だ。
「2人とも、それだけで分かったの?」
「まぁ俺の方はちゃんとした指示だったし」
「私はもっと具体的な指示が欲しかったけど、まぁ別に。伝わったから」
私が聞きたいのはそういうことではなくて。
「…2人はここが神社だって分かってたの?」
領域を七海先輩が壊して、そこは道路であった。
そして、2人が壊した領域の外は神社であった。
つまり、私たちがいたのは二重領域内。
こんなことは聞いたことはないけれど、私の目で見たものを信じるのであれば筋の通った仮説となる。
「「いや」」
「…ただ壊しただけ?」
「「まぁ」」
2人は顔を見合せながら頷く。
「…凄いね」
「八乙女さん、頭悪いけど無駄な指示は出さないし」
「そうね。だとしても、『釘、空』で伝わった私、凄くない?」
ねぇねぇ、凄くない?と、詰め寄る釘崎さん。
確か、彼女は八乙女先輩の特別な生徒さん。
……あれ、八乙女先輩って教師じゃないんだよね?
「それより、伏黒やばくね?」
「確かに。真希先輩に任せっぱなしだわ」
「行こーぜ」
「鈴木さんも来てよ」
2人はニコッと笑う。
「鈴木さんみたいにしっかりした大人がいると助かるんだよねぇ」
私の気持ちも知らないで。
「…分かった」
潤む瞳を誤魔化すために欠伸をする。
この癖が顕著に現れ始めたのも、もちろんあの頃からだった。