第52章 不如意
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「全く…。どうして千夏ちゃんは君のことが好きなのかね。こんなにも思想が違ってるのに」
「いいから答えろ。あの男は誰なんだ?」
「じゃあ離れて」
はるか昔。
僕はお前を祓ったはずだ。
「無理」
「はぁあ。今回は君に祓われるのかなぁ」
千春と協力して。
「そもそも何でここにいるんだ」
「千夏ちゃんの後をつけたから」
「ストーカー?」
「そんなものと一緒にしないで。私の愛は純愛だよ」
ストーカーは皆そう言う。
「なんでもいいけどさ〜。とにかく、お前だけは千夏に近づいたらダメなの」
「嫉妬?」
「この際なんでもいいよ」
あんなに巨大な領域を広げ、しかもその中に確固たる領域を作る。
並大抵の技術ではない。
「言い残したことは?」
「殺されるなら千夏ちゃんに殺されたいでーす」
発見当時は生まれたてほやほやの害悪なしの呪いだったけれど、いずれ強大な敵となるだろう。
そんな仮説を元にこいつを祓ったのに、その仮説が現実となり沖縄本島だけでなく日本を脅かす可能性が出てきた。
「ちーなーつーちゃーーん!私っ!千夏ちゃんに殺されたぁぁいぃーーー!」
呪霊と人間が友情を交わす?
そんなことがあったら大変だ、まして千夏の周りで起きたものなら……なんて考えていたけれど。
確かにこの2人の間に友情はある。
認めざるを得ない。
「コイツ、やぁだぁぁ!黒マスク白髪ガイ君なんてやーだー!」
「何だそれ…って…」
……ん、待てよ。
「お前…コンブちゃん?」
「は?」
「…」
「…」
「…」
「……半分正解。千夏ちゃんには言わないで」
待て待て待て待て。
どういうことだ?
「コンブは千夏が……って、そう千春に言われただけ?」
「そうだよ」
「千春は千夏のことを一番に考えてる」
「そう」
「…お前は危険だ」
「そうかも」
でもね、と呪霊は続ける。
「千夏ちゃんを想う気持ちは誰にも負けないよ」