第51章 コイワズライ
灰原先輩は本当に変わった人だった。
こんな私にしつこく話しかけて、仲を深めようとしてくれた。
今でも覚えている。
彼との関係が変化した日は、5月2日。
「あれ!なんで2人、一緒に…」
「やっほ、元気してた?」
たまたま会った八乙女先輩とコンビニに出かけた帰り。
これまた偶然、灰原先輩に出会ったのだ。
「任務帰りですか?」
「そーそー。硝子達には内緒ね?またすぐ次の任務行くから」
「忙しいっすねー。あ、これあげます」
「まんじゅう!やったー、ありがとー」
(八乙女先輩、若…)
こんなことを言ったら怒られそうだけれど、この頃の八乙女先輩は疲れながらも活き活きしているように見える。
歳をとった八乙女先輩をまじまじと見た訳では無いけれど…。
髪色も関係しているのか?
「でも、2人が仲良いなんて驚きです」
「あー。好きなゲームが一緒なの」
「ゲーム?前に教えてくれたやつ…ですか?」
「そー!そう言えば、灰原もやってたよね」
そう、あのゲームを灰原先輩もやっていた。
覚えてる。
この時の私の顔はしかめっ面だけど、内心は身内を見つけられて嬉しかったんだ。
(…なんか頭痛くなってきた)
色々な方法を持って消そうとしてきた記憶を、こんないっぺんに思い出して、そんな記憶に感情を揺さぶられて。
(戻りたい)
ほら、こう思ってしまうから。
だから、ダメなんだよ。
”先輩、ごめんなさい”
死にたくなるから。
”灰原、先輩……本当に、ごめんなさい”
死にたくなるじゃないか。