第50章 熱源
次にその先輩を見たのは3日後。
今まで知らなかったけれど、先輩の部屋は私の部屋の隣だった
「…」
しかし、その状況は明らかに異常
今目の前で廊下に寝たわるコレ…
コレが先輩だった
こんな不気味なことに関わりたくはないけれど、先輩は任務帰りなのか服が汚れていて、まるで死んだように動かない
「…生きてます?」
一応、肩を2回叩いてみる。
ここで死んでいたら、それを見て見ぬふりをした私は悪者になってしまう
「…ん、誰…」
先輩はゴロンと首を動かして、うっすらと目を開けた
「…鈴木です」
「誰だし…」
まぁ、そうか。
あの時しか顔は合わせてないし、私は名乗ってない。
「まぁ…ぃや。申し訳ないんだけど、部屋、連れてってくれない?」
「…」
「も…体動かなくてさ…」
疲れてる、のか?
…まぁ、ここで見逃すと後味が悪い
「これ、鍵…」
先に扉を開けてから、先輩の体を持ち上げる。
人間を運ぶのは初めてだったから、先輩の体重に関係なく重く感じた。
「…そのままベットでいいんですか?」
「…」
「…はぁ」
シーツが汚れてしまいそうだけど、返事がないのでそのまま乗せる。
(…何も無い部屋)
私の部屋はかなり荷物があるため、このように感じてしまうのか。
物色するのは申し訳ないと思いつつ、少し部屋を見回した。
(…!)
棚の上に無造作に置かれたそれを手に取る。
「ああ、それ?それは…私の好きなゲームの…」
「GRF、やるんですか?」
「「…」」
GRFとは超マイナーなRPGゲーム。
けれど、グラフィックもミュージックもトップクラスで、プレイヤーはこぞってこのゲームをもっと広げようと躍起になっている
「鈴木…何だっけ」
「…ウルハ」
「ウルハね…。あんたもやってんの?」
「…先輩も?」
「私はGRFの音楽が好きで…時間があればプレイしたいと思ってるの。えー!これ知ってる人、初めて会った!」
とまぁ、こんな感じで。
疲れなんてどこかに飛んでしまったように先輩は話しかけてきて…。
私達の不思議な関係はここから始まった。