第50章 熱源
「…ま、灰原と七海ちゃんの笑った顔が見れたので、落書きされた価値はあったということで」
「…」「ははっ、流石千夏さん」
「それより…この子達だれ?」
私達は今この瞬間、殺されるのでは?
それくらいの気迫があった。
(これが特級…か)
そう思って3人して振り返ると…
「「「!?!?」」」
黄色いひよこが可愛く描かれているTシャツ。
ボサボサの髪の毛。
その顔はキャンパスのように自由に描かれていて、髭やらホクロやら…しまいには眉が繋がっていた。
「1年生です!」
「新入生歓迎会、来なかったから分からないんですよ」
「あー…あの日は色々あってね」
「それ、夏油さん達も言ってましたよ?何があったんですか?」
「いつも通りだよ。報告書と反省文が面倒くさくて、いつも通り傑に任せたら先生に見つかって…いつも通り怒られて。硝子も混ざって一緒に書類終わらせたら、今度は五条が…」
「あー、もういいです」
「こっからが面白かったのに…」
そんな顔でしょぼくれられると…何だか切なくなる…。
「あ、あの!1年の和田花子です!」
「…そ、そう。八乙女、です」
和田さんの勢いには毎日驚いてばかりだ。
きっと、 私たち3人の会話の内八割ほどは全て和田さんが占めているだろう。
「さっき先輩方から聞いたんですけど、八乙女先輩、特級なんですってね!」
「…一応、ね」
「うわぁ、憧れちゃう!私も早く先輩方みたいに、えっと、とにかく凄い呪術師になりたいですっ」
「…凄い呪術師ねぇ…」
「ぅわぁーっと!千夏さん!早く追いかけた方がいいのでは!?」
和田さんと八乙女先輩の間に滑り込んだ灰原先輩。
その顔からは必死さが伺えた。
「あは、は…」
「…?」
「えっと…校舎の方ですからね」
「なんでそんなビクビクしてんの?」
「…怒ってませんか?」
「別に?何に怒るっていうのさ」
頬が痛い。
空気が痛い。
「…灰原は説明が雑なんですよ」
「ちょっと調子乗っちゃったなぁ…はは」
彼女が駆けて行った後、2人はそんな会話をしていた。
「あのぉ…私なにかしちゃいましたかね」
「いやいや!和田さんは悪くない!」
灰原先輩はそう言ったけれど、きっとあの会話の中に何かが…