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【呪術廻戦】infinity

第1章 千夏様


「ちょっと。ご褒美は?」
「…ああ。これで百回目か」


先生は思い出したように、懐から小さな人形を取り出した。
不細工なウサギの人形だった。


私は先生から人形をもらうために、先生のお手伝いをしている。
クズどもを統制したり、任務に余計に出かけたり。
理由は……何となく、人形が可愛いから。


先生は私に人形を渡すと、今度こそ本当に帰っていった。


「八乙女さん。なんでそんなものを?」
「私にも呪骸つくれないかなーって」
「…?」


先生は呪骸という呪力を宿した無生物を制作することができる。
その呪骸を私も作りたいのだ。
だって、ペットみたいで可愛いから。
ただそれだけ。


「灰原、理解しなくていいから。千夏もあまり困らせるな」


灰原は私と傑の顔を交互に見て、最終的に傑のほうを見て止まった。


「夏油さん、さっきのケンカ、マジすごかったです!」
「そうか」


2人は…というか、傑が勝手に歩き出して、その後を灰原が追っただけ。
その結果、2人の背中は見る見るうちに小さくなって、建物内に消えた。


「気ぃ遣ってくれたのかな」
「はっ、誰が…」
「傑は意外とそういうところあるんだよ」


手のひらサイズのウサギを、ポンポンと投げてはキャッチして。
視線を五条に向けた。


「部屋、帰んねーの?サザエさん、終わっちゃうよ」
「そうだね」


よいしょと言って隣に座ると、避けるように五条は立ち上がった。


「帰るの?」
「傑もいっちゃったし」


返事になってないような、なってるような。


「そんなんじゃモテねーぞ?」
「誰に向かって言ってんの?」


本当に歩き出してしまった。
私はここにいるのに。

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