第50章 熱源
結局、不貞腐れた五条先輩は「飽きた」と言って、これまた一瞬でどこかに消えた。
隣の女は「マジシャン?」なんて呑気なことを言っていたけれど、この場の空気は一層どんと重くなった。
「…こんなもんで、この学校の雰囲気は分かったか?」
「…色々大変だけど、色々楽しいよ〜…はは」
「まぁ、慣れれば…」
うん、理解した。
4年に関しては全く分からないけれど、3年には関わってはいけない。
何かあった時には、七海先輩か灰原先輩を頼ることにする。
これらを理解できたのだから、この新入生歓迎会は大成功と言えるだろう。
けれど、この学校において他学年との関わりはほとんどなかった。
実際、早くも1ヶ月ほどが経つが、未だに交流するような機会はない。
顔を合わせれば挨拶をする程度だった。
今日も、たまたま入れ違いで会っただけ。
「どう?慣れた?」
「慣れましたよー!めっちゃ広くて、未だに悩みますけどっ」
唯一の同性のクラスメイトである和田さん。
いつもうるさくて耳障りだけど、代わりにリアクションを取ってくれるから楽。
「鈴木さんは?」
「…」
「もー、この子いっつもこうなんですよ」
「ははっ!七海もこんな感じだから、慣れてる!」
と、隣にいる七海先輩は不機嫌そうに顔を顰めた。
少し同情する。
そんな感じで次の授業まで少しだべっていると、誰かの声が木霊して聞こえてきた。
誰だァー、って感じに…。
「…はは」
「…」
先輩方はこの声の詳細を知っているようで、2人で顔を見合わせては今にも溜息をつきそうな顔をする。
この顔には見覚えがあった。
新入生歓迎会でも、同じ顔を見た気がするから。