第50章 熱源
昼休み。
下の自販機でジュースを買っていると、男の人が2人やってきた。
「あれっ!君、もしかして1年生!?」
ジュースをとってから、小さく頷いた。
「そっかぁ!俺らは2年!君たちの1個上!」
「…そーですか」
明るい先輩は笑って隣の自販機にお金を入れた。
「…騒がしい奴ですみません」
「…いえ」
なんか、疲れてるような顔。
この人の疲労の元を知ったのは数十分後のことだった。
「新入生歓迎会なんて、何してくれんだろ。呪霊とか出てきたらまじウケるよね」
「…ウケない」
「ははっ、ウルハっちのその顔面白い!」
単なる紹介で終わる予定の新入生歓迎会のために、私達は第1体育館に集められた。
「ここにいるのが2年。左から灰原、七海。こいつらはマシな方だ」
先程の先輩達だった。
私達は各々軽く挨拶をすると、あちらも簡単に自己紹介をしてくれ、ファーストインプレッションがかなり合っていたことを知る。
「おい、七海。アイツらは」
「知りませんよ。なんで私に聞くんですか」
疲れ顔の七海先輩が気だるげに答えた。
すると、灰原先輩が私達に補足を入れる。
「あ、七海はいつもこんな感じだよ。怒ってるわけじゃないから」
「…怒ってるんですけど」
「そんなこと言っちゃって。面白い先輩だなぁ!」
バシバシと背中を叩かれる七海先輩だったが、灰原先輩に悪意は全くなさそう。
何となくだけれど、七海先輩は本当に怒っているなと思った。
「…なんだ。一応、形式的に3年も来る予定だったんだけど…」
担任はだるそうに2人を見比べては大きく息を吐く。
「…無理ですよ」
「俺たちが呼んで来るなら、誰も苦労してません!」
灰原先輩はニコニコ笑いながら、その場で伸びをした。
「あのぉ…3年ってそんなに怖い方々なんですか?」
クラスメイトのギャルが小さく手を挙げながら質問。
しかし、この質問に3人は顔を合わせてしまう。
誰が答えるかで迷っているのか、答えをどうするかで迷っているのか。
何でもいいが、とにかく答えはすぐに帰ってこなかった。