第50章 熱源
しかし、翌日。
「ねぇ!ちょっと見に行こうよ!」
「…興味無い」
「いいから!ほら、伊地知も!」
自分の知っている”荒れ”が、とても可愛いものであることを知った。
「さぁて、準備はいいかな」
「もちろん。かかってこいよ」
廊下に出て窓から顔を出して下を覗く。
白髪の男とピンク髪の女が向かい合っていて…
その塊の横で黒髪の男と女がつまらなそうに…けれど、楽しそうに話していた。
「…ん。おーい、そこの輩〜!首引っ込めとけ〜!」
その黒髪の女はこちらに気づくと、そう忠告した。
「…引っ込めとけ、だってよ」
「えー、でもそしたら見れないじゃ」
ブォン…!!!
窓の隙間を我先にと進むように、空気の塊が突っ込んできた。
当然、私たちの体は教室の壁へ押し付けられ、しばらく息ができなかった。
「はぁ…え、何?」
「…」
「め、めがね…」
窓に、ヒビが入ってる…。
あれが割れていたら、風に巻き込まれて…打撲で済まなかったはず。
「お、お前らぁぁぁあああ!!!」
「「センセー、スイマセーン!!」」
「って、千夏!?帰ってるなら報告が先だろっ!!!!」
そんな怒鳴り声の掛け合いを聞き…。
私達はしばらくしてから廊下の整理を始めた。
「すっごい風だったよね。あれ何?」
「先輩たちの…何かじゃないですかね」
「その何かが知りたいんだよ、伊地知のバカ」
「…」
廊下に机を並べていると、自分らの担任がやってきて。
「…お前ら、片付けてんの?」
「そ、そーっすけど」
「…かぁっ!お前らは金の卵だよ、ほんと、あぁ、良かった…俺の生活は安泰だ…」
片付けているだけでこんなにも褒められて…。
ここの治安はそんなに悪いのだろうか。