第50章 熱源
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ぼぉー。
ぼぉー。
「あのぉー集合かかってますけど」
ぼぉー…。
「…今行く」
全て、全て、つまらなかった。
全て、全て、運が決めてしまうから。
「えー、今日からお前らの担任を務める…なんだ、あれだよ」
小さい時から呪霊が見えた私は、物心ついた時からこの学校に入学することが決まっていた。
スカウトされたから。
そういう運命だったから、そのまま従った。
サイコロを一振すれば、大抵の事は自分の思い通りにできた。
その代償は必ずあるけれど、それでも誰もが羨むような力だった。
「んーまぁ、次は校舎紹介だな。付いてこい」
だから、今までの15年間、何もかもがつまらなかった。
かろうじて、趣味であるゲームがあったから、生き延びられたようなもの。
ここがどんな場所なのか、この世界がどのようなものかは、理解している。
死と隣り合わせなんて…リスキーにも程がある。
でも、それは間違いなくスパイス。
「一通り紹介したか…。今日はお前らしか学校には来てないけど、一応先輩たちもいるから」
「今日はどうしていないんですか?」
真面目そうな男の子が質問する。
「…さぁな。先輩らのことはあまり気にしない方が…っていうか、気にするな。痛い目見るぞ」
気にするなって…
同じ学校の先輩なのに?
1学年の人数が極端に少ないこの学校の先輩なのに?
「頼むから、お前らは真っ当に生活してくれ。システム的に怒られるのは担任だから」
この時の担任の顔は、夜眠る時に脳裏に浮かんだ。
(…ふぅ。何とかなりそう)
親元を離れた初日で不安だらけだったけれど、意外と上手くやっていけそうだった。