第50章 熱源
「恵!」
そんな私の過去の回想は先輩の一言によってかき消された
「千夏ちゃぁん…それはないっしょ」
伏黒…君の体が2度地面に打ち付けられて、そのままぐったりとアスファルトに倒れた
「昔みたいに遊ぼうよー…」
「───ちゃん、やめて!」
「その子と私、どっちが大事なの?ねぇ、どっち?」
うわ、生粋なメンヘラ。
俗に言う、禁断の質問をした呪霊は、冷や汗が出るような雰囲気を作り出す。
「真希!」
「了解です」
真希…ちゃんが救出に向かう様子を、私はじっと見ていた
何もせず、ただじっと…
「鈴木さん、帳やった方がいいっすかね」
「…お好きに」
「えぇ…俺あんましそーゆーの分からないんすけど」
虎杖悠仁。
変な雰囲気を持っているが、それが何なのかは私には分からなかった。
だから、彼とはあまり関わりたくない。
「棘っ…!恵連れてパンダと合流!」
「千夏ちゃん、私がそんなことさせると思う?」
「っ…!」
千夏ちゃん、千夏ちゃん、千夏ちゃん…。
あいつの頭には先輩しかないのか。
”ぶっ飛べ”
狗巻…君が呪霊に向かって攻撃したけれど、呪霊が飛んで行くのと同時に彼の喉が潰れた。
私の知っている呪言師は先輩しかいなかったから(先輩も呪言師ではなかったみたいだけれど)、彼の喉が潰れた理由も分からない。
それほど、私はこの世界に興味がなかった。
今まで、こんなにもこの世界を理解しようとしなかったのだ。
「このままじゃ一般人にも被害が出る…」
「どーすれば…。移動できっか?」
「するしかなさそうね」
虎杖君達は私の方をチラチラ見ているが、私にとって一般人はかなりどうでもいい存在
もう、本当に…
好きにしてくれ