第48章 緊急事態
虎杖悠仁────
『あ、ナナミン!?ちょっと助けて欲しいんだけどさ』
「…はい、何でしょう」
『今沖縄なんだけど、八乙女さんが領域…狷介?みたいなことして、俺ら閉じ込められちゃって』
「領域展開…とは違うのですか」
『呪いと領域展開が混ざったみたいな?なんか違うみたい。今んとこ被害はないんだけど、領域狷介を壊すと八乙女さんの領域展開の方が前に出て危ないみたい。俺らじゃどうにもできないっぽくて』
領域狷介…。
聞いたことの無い言葉だ。
「虎杖くんは沖縄にいると言いましたよね」
『そう。皆で旅行に来てたんだけど…』
とりあえず、千夏さんに何かあったことは確かだ。
あの人は理由なしに呪術をどうこうする人ではない。
飛行機は…上にかけ合えば用意できるとして。
『…あ。今棘先輩が言ってたんだけど、この領域内には一般人も自由に入ることができるみたいで……でも、外から中に入ると入った時点で意識が無くなって適当に領域内に運ばれるみたい。んで、領域内からもたまに人が消えるんだけど、その人は外に戻った可能性が高いって…』
しかし、今私が抱えている問題もあるわけで。
飛行機が取れたからと言って、そのまま飛べる訳では無い。
それに、私が行ったところで…彼等を助けられる自信はない。
「五条さんには?」
『今伏黒が…』
千夏さんと真っ向に向き合えるのは、五条さんくらいなものだ。
私が彼女と戦って……5分持てばいい方だろう。
『五条先生、海外いるから戻ってくるのは難しいって。ナナミンに任せるとも言ってたってよ』
「…そうですか」
任せる、と言われても…。
「彼女が何故領域…狷介をしたか。理由に当てはありますか?」
『さぁ』
千夏さんが暴走する時はいつも…五条さん絡みだった記憶があるけれど、五条さんは今海外にいると言った。
他の理由を考えると…。
パソコンを使って彼女が好きな番組を検索する。
(…サザエさんは休止になってない)
いや、仮に…休止になっていたとして、彼女は利己的に周りを巻き込むようなことはしない。
「とにかく、身の安全を第一に」
『分かった。っても、八乙女さんの領域だからって皆安心してる節はあるけどね』