第48章 緊急事態
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「あんにゃろ…チクリやがった」
先程から鳴り止まない携帯。
ここにいる全員に順番でかかってきたため、皆がこの鬱憤を抱いている。
そして、今このときをもって全員の携帯は電源offとなった。
「ったく。伏黒も可愛くねーなぁ」
「…あんただったら、絶対デート続けるでしょ」
「んなん、普通じゃね?伏黒がおかしーでしょ」
でも、その相手はアイツだぞ?と、言いたくなる気持ちを抑えて。
「どーします、真希先輩達」
「とりあえず…逃げっか」
「りょーかいでーす」
伏黒がアイツのことを好きかどうかなんて知らないけれど、先輩達は何故かそう確信しているし、私も面白そうだから乗っかってみた。
(2人とも、こういうの嫌いそうだけどなぁ)
それに、正直五条先生と別れたと聞いてホッとしたのは事実。
五条先生は誰もが認める”最強”で、それに似合うように努力し続けるなんて辛いと思うし、いくら好きだからって…。
アイツを受け入れてくれる人は少ないと思うけど、もう少し融通の効く人を選んだ方がいいと思っていた。
まぁ、”絶対悟じゃなきゃヤダ!”って言われることは分かっているけれど。
でも、よくもまぁ…こんなにも一途でいられること。
小学生からだとか言っていた気がするが、別の出会いに目を向けたくなったことは無いのだろうか。
アイツはともかく、五条先生は引く手数多だったはずだ。
一体、五条先生はアイツのどこに惹かれたのだろうか。
「ここまで来ればバレねーだろ」
「しゃけ」
「んじゃ、俺らは俺らで楽しみますかっ!」
少し伏黒が不憫に感じるが、今度ピザでも奢って謝れば許してくれるだろう。