第47章 修学旅行
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「結局ずっと自習だったんだ……んの、馬鹿っ!仕事しろっ!」
届いた肉を全て網の上に乗せていく。
食べ盛りの男の子がいるのだから、と強気に出てみた。
「俺、そんな食えないっすよ」
「食え」
「…金ないから腹満たしてこいって言ったの、どっちですか」
「え、信じてたの?冗談のつもりだったんだけど」
目という目を細めて睨まれることも久しぶりな感じがする。
それもそうだ。
「実際、久しぶりだよねー。野薔薇が来てから……もしかして、初めて?」
「そうですね。2人が構ってこなく…」
「あれれ。寂しかった?」
「微塵も」
私はかなりの偏食家なので、無難なカルビなどは全て恵行き。
私が食べるのは牛タンくらいだ。
「悟とはご飯食べるんでしょ?」
「大体虎杖とか釘崎もいますけど、稽古後とかは…前みたいに2人で」
「悟と稽古してんの!?」
「まぁ」
「あんなに嫌がってたのに!」
「…まぁ」
恵が悟に稽古をつけてもらうこと自体が驚きだけれど、それより…恵が心配だった。
「え、大丈夫?」
「大丈夫です」
高校生の時…。
体術なんかに全く興味がなく、繰り返し練習が苦手な私は、最低限の筋トレと走り込みだけを行っていた。
しかし、そんな不真面目な私を稽古後の相手に選ぶ変わり男が約2名。
その2人は揃いも揃って性格が悪く、私をいたぶるようにして稽古の成果を確かめていた。
「本当に酷かった。毎回毎回ボロッボロになるまで動かされて…」
大人になってから…。
私の体力維持を目的として、何回か一緒に稽古をしたことがあった。
でも、悟の非凡な才能の前に、私の10年間の努力は無に帰すことに。
こっちが本気でかかっても、あっちは全てをかわす。
それでいて、おちゃらけて私の体をいやらしく触ってくる余裕があるのだから、さすがに頭にくる。
全ての余裕は、彼の才能を伸ばす努力の賜物であることは分かっているが…。
数回相手にして、もう二度と彼とは稽古をしないことを決めたのであった。