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【呪術廻戦】infinity

第46章 舞文曲筆



*****


仕事を終わらせて、21時きっかりに七海の住処にやってきた。

部屋の位置までは知らないので着いた旨を連絡すると、部屋着姿の七海が迎えに来てくれる。



「…千夏は?」

「夜食を」

「そっか。僕のこと、なんか言ってた?」

「…」

「…悪い。今のは聞かなかったことに」

「いつも通りですよ。惚気られて……まぁ、そんな感じです」



惚気なんかするはずないのに。

なんて素晴らしく気遣いができる男なんだろう。

これでいて色恋沙汰の噂がないなんておかしい話だ。



七海の部屋は本当に七海らしくて。

全体的に色味が統一され、オシャレなインテリアばかり。

ほのかに香るファストフードの匂いが似合わない。



リビングのドアを開けると、真っ暗な部屋で映画を見ている千夏がいた。

その手にはポテト。

視線はパソコンに釘付けだった。



『ははっ、そんなことあるわけなけないだろぉ?』



爆音に耳を塞ぎたくなるが、七海は特に気にした様子はなく部屋の電気をつけた。



「目、悪くなりますよ」

「っそ」



パソコンを閉じ、伸びをした千夏。

体をバネのように2度動かすと、ニッコリこっちを向いた。



「やっほ、悟」



彼女の声、表情、仕草に毒はない。

何故?



「…ん、どーした?」

「え、いや…」

「七海ちゃんの家、凄いよねー。このソファ、フワッフワなの」



座ってみなよ、と手招きされて恐る恐る従えば、確かにフワフワで。

えへへ、と千夏は笑う。



「…えっと、千夏…あのさ」



てっきり気まずい雰囲気が流れたり、拒絶されたりするかと思っていたけれど、それと真逆の反応に戸惑いを覚える。



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