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【呪術廻戦】infinity

第45章 酒の力



戻った頃には悟も激しい気持ち悪さが無くなったようで、疲れたような顔で袋を持っていた。

換気扇をつけるためにキッチンに行くと、コップを持った悟がヨボヨボとした足取りでやってきた。



「…」

「水?」



頷いた悟からコップを貰う。

弱った悟は大変珍しく、思わず顔がにやけてしまいそうになったけれど、ここは心を鬼にして真顔で対応した。

下着姿のまま冷蔵庫の前に立つと、簡単に体が冷える。

早いところパジャマを着た方が良さそう…。




「ねぇ、何これ」




随分とハッキリした声に驚いて振り向くと、疲れたままの顔で睨まれていた。



「何って何?」



冷蔵庫を閉めて、コップを渡す。

しかし、悟はそれを直ぐに置いた。



「キスマ」

「はぁ?」



悟が私の首後ろに指を立てる。

じんわりと温かい指に、少しだけ体が震えた。



「キスマなわけないじゃん。虫刺されとかじゃない?」

「だよねぇ。虫刺されかぁ…」



なんだよ、キスマって。

ふざけるのも大概にしろと心の中で毒づきながら、横を通り過ぎようとすると、腕を掴まれた。

そして、そのまま体を引き寄せられ、耳元で囁かれる。



「なんて、言うと思う?」



低い声に体の芯が反応する。

この声色は久しぶりに聞いた。



「ねぇ、さっきまで誰と…」

「ひっ…」



首を舐められた。



「どこで」



先程悟が指を立てた辺り。



「何してたの?」



隠そうともしない怒りに、私は少し怯んだ。

いつもだったら、悟は怒っても笑顔を保とうとしたり、そもそも私から距離を取ろうとしたりする。

掴み合いになった喧嘩の時も、このような丸出しの怒りではなかった。



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