第44章 修復 可・不可
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「千夏」
「遅いよ」
「ごめんごめん」
デートの待ち合わせのような軽さで合流した私達。
「とりあえず、帷を壊そう」
「うん」
それの優先順位が高いことは私も分かる。
でも、あってはならない他の可能性がチラついて仕方ない。
「…私、もう少しだけ外回ってもいい?」
「いいけど。どうして?」
「不安」
「何が」
「んー。今危険なのって外じゃねって話」
みんなが注目しているのは、勿論帳や帳の中。
だって、生徒はみんな中にいるし、悟は入れないし、敵の正体も不明。
でも、本当に全員がそっちに集中してもいいのか?
「確証はないから、悟は帳の方を。私、帳の壊し方知らないしね」
「…分かった」
「じゃあ…」
「待って」
左手で手を振ると、その反対の手を掴まれた。
激痛が走る。
「怪我?」
「…まぁ。最近呪力を使った訓練してなくて」
外部犯の仕業ならば戦闘になる可能性があると思って、試しに呪力をぶっぱなしてみた。
そしたら、どうなったことか。
木に窪みを作る程度の威力のつもりだったのに、的の木を中心とした円の周上にあった4本の木がなぎ倒され、私の腕に過度の負担がかかり、捻り取られたような痛みが走ったではないか。