第43章 優先順位
「五条君、温かいねー」
千夏が布団に潜って、そう呟いた。
ベット横の電気スタンドのみが部屋を照らす。
薄々感じていたけれど、この状況…。
「なぁ千夏」
「ん?」
「お前、仮にも中学生だよな」
「うん」
「思春期真っ只中じゃねーの?」
「真っ只中だね」
背丈にあまり差はないけれど、千夏がギュッと縮こまって俺の胴体に絡みつく。
お互いの足も絡み合って…。
「おかしくね?」
「何が?」
おーい、千春さん。
お宅の妹、どーなってんの?
呆れ果てて、襲うなんて考えが失せたんですが。
「『きゃっ!男子の体に触っちゃった!』とか、『うっわ、まじ男子ってうぜ〜』とか。そーゆーの無いわけ?」
「あ。ごめん、その、と、友達いなかったから…知らなくて」
いやいや、そういうことじゃなくて。
男の体に触ったらいけない、ということを言いたいのではなくて…。
バカなの?
それに、そこで言い淀む?
友達がいないことも驚きだけど、そこじゃなくね?
「…今の。異性にくっついて恥ずかしいとか。そっちの話だったんだけど」
自分で言って恥ずかしくなってきた。
あー。
俺、何言ってんだろ。
「そ、そりゃ。恥ずかしいよ。ほら、心臓バクバクしてるじゃん」
「っ」
無理矢理手を胸に押し付けられる。
「ね?」
胸から手を離さないといけないのは分かってる。
千夏の手が振り解けないわけじゃない。
少しでも離そうとすれば簡単に手を退けられるのだけれど。
触っていたい自分がどこかにいる。
なんなら、このまま指を動かして柔らかさを味わいたい自分もいる。
「…あのね。女の子の大切なところ、こんなに簡単に触らせたらダメでしょ」
欲望を抑えて、手を退ける。
ホッとした自分がいたけれど、そいつはきっと先に進みたかった自分だ。