第43章 優先順位
「ま、とにかく。その術式の強度は知らんけど、動くなーとか、土下座しろー、とか言えば、相手はその行動に従わないといけない」
「どうして?」
「それが千夏のスーパーパワーなんだよ。分かる?」
「…私がひーろー?」
「そうそう。そんなもんよ、そんなもん」
でも、呪言は万能ではない。
「…ただし。それは1回っきりの必殺技。1回使うと相手がヒーローの攻略を始めちゃうからね」
特に今回は手練ばかりを相手にするだろう。
「だから、ここぞ!って時に登場するんだよ。ヒーローは遅れて登場するっていうじゃん?」
「それまで何してればいいの?」
知らぬ間に作戦実行の流れに乗ってしまった千夏。
やっぱり単純だ。
「それまでは…」
『私に体を貸すんだ』
は?
「なにそれ、憑依的なぁ?幽霊じゃん」
『違う』
「じゃあ何?俺、そんな事例聞いたことないんだけど」
『それは明日の楽しみに取っておけ』
千春が千夏を危険に誘うわけがないし、別にいいけれど。
当の本人が全く分かっていないのは、如何なものか。
「千夏、大丈夫?」
「うん!千春に体を貸せばいいんでしょ?」
お菓子を食べながら笑う千夏。
「…意味分かってる?」
「分かってないよ?」
「…」
「…?」
「…はぁ。救いようねぇわ」
「ねぇねぇ、このグミ美味しいよ、シャリシャリしてるの」
青いグミをひとつ貰ったが、馬鹿らしくて食べる気にならない。
ヤケクソで口に放り込むと、千夏は嬉しそうに色違いのグミを食べた。
「…もうやめよう。ぶっつけ本番だ」
『だから言ったろ。作戦会議なんて無駄だって』
「ああ。無駄だった」
なんか疲れた。
もう寝よう。