第43章 優先順位
「五条君と千春が怪我するのは絶対に嫌」
「相手によるけど、千春は怪我しないと思うよ。俺は人間だから怪我するだろうけど、そんなの大したことない」
「分かんないじゃん」
「それが分かるんだよねぇ」
「どうして?」
「”五条悟”に対する攻撃は、できるだけ避けたいものだから」
「どういうこと?」
『その話は今度私からしてあげる』
「…助かるよ、千春」
長ったらしい説得にお互い疲れが見えてきた。
少し話を転換させよう。
「そういえば、千夏の術式は呪言だったね」
「ジュゴン…。なんか前にも言ってたよね」
「そうそう!試しに何か言ってみて」
と、その時だった。
”何にもなかった”千夏の口元に、突如としてか新たな”模様”が刻まれた。
そして、それは”六眼”でも違和感として刺激を受けた。
幼かった僕が感じたあの違和感は、やはり本物であったか。
『千夏。五条悟に向かってなんか言ってみな』
『ナンカ?』
千夏が言葉を発した途端、俺の体の中に渦巻く呪力が反応した。
勿論今回はお試しであるから防御などしていない。
そのため、その言葉によって俺の体は窓辺に向かって動かされた。
「…!」
『鏡見ろ。お前の口に黒い模様があるだろ?それが現れている時は、言葉に注意しなさい。最悪、あの時みたいに死人が出るぞ』
「…コクコク」
千春に言われたからか、千夏はすぐに頷いた。
同じ内容を俺が言ったら、千夏はこんなにも早く飲み込まなかったはずだ。
2人のお互いに対する信頼はとても分厚いものである。
「模様…消えた…」
『不思議だな』
「うん、不思議…」
不思議、なんて言葉で片付けていいのか?
まぁ、俺は千夏の能力に関して偉そうなことを言える立場ではない。
ほとんど何も知らないのだから。
六眼で感じることですら、単なる違和感として扱われ、そこからの考察は予測でしかない。