第43章 優先順位
私の味方である可能性は低く、金でも積まれてあっちに味方する方が冥冥さんらしい。
その予想は遥かに現実的で、翌日には黒服を着た冥冥さん本人がやってきた。
私は常にサバイバルナイフを持っていたため、ほんの威嚇程度にその刃先を向けた。
『取り引きと行こうじゃないか』
彼女が最初に言った言葉はこれだ。
いつもは結んでいるはずの髪の毛を下ろしていたから、戦闘に来たのでは無いと予測を立て。
私は何時でも逃げれるように経路を確保しながら、話を聞いた。
『みんな血眼になって千夏を探していてね。私も依頼されたら捜索するしかない』
『じゃあ、冥冥さんが一番乗りってことだ』
『ふふ。大人しく拘束されてくれるかい?』
『嫌だ』
冥冥さんは笑って言う。
『なら、取り引きをしよう』
『なんの取り引き?』
『これはゲーム。千夏と、上のね』
千夏の居所は隠すし、安全な生活を保証する。
その代わり、私に力を貸せ。
『安全な生活って、どうやって保証してくれるの?』
『金銭面でサポートするよ。仕事も存分にできないだろ?
『…ふむ。じゃあ、冥冥さんは私の術式が欲しいの?』
『いいや。私が欲しいのは……千夏の理想だよ』
術式と言われたら断れたのに。
今の私に呪言は使えない。
と、まぁ。
こんな感じで。
金銭面は冥冥さんの支援があり、私は労力と理想を冥冥さんに捧げた(貸した)。
冥冥さんが最終的に何をしようとしているのか。
そんなことに興味はない。
いざとなったら、冥冥さんから全て奪う。
そのつもりで、私達は手を組んだ。