第43章 優先順位
「じゃあね、七海ちゃん。また今度っ♪アデュー!」
「…ええ」
長い髪を縛りながら、待たせていた冥冥さんと元に駆け寄る。
「みんなもう集まったって?」
「ああ。鳥居前に行こう」
「らじゃ♡」
驚くことに、冥冥さんは私と悟が別れたことを、一番最初に当てた人。
硝子にしか報告していなかったから、それにはとても驚いた。
まさか、カラスを介して見ていたのでは?と思ったけれど、あんな場所にカラスは飛んでいなかったはず。
「朝は?」
「何も食べてないよ。作るのダルかった」
「…ふふ。仕事する気はあるのかい?」
「まさか。さっき七海ちゃんに栄養バー貰ったから、今からそれ食べる」
仕事に対するやる気。
それを示すために、ワイヤレスイヤホンを右耳に突っ込んだ。
冥冥さんが携帯電話を2度叩くと、私のイヤホンに篭った音が2度送られてくる。
「アレは」
「ここに」
私の腰にあるポーチから小瓶を取り出してチラつかせる。
冥冥さんは気味悪く笑って、私の頬をすっと撫でた。
「くすぐったぁい」
「準備」
「…はぁい。めんどーだなぁ」
とり、あえず!
階段は嫌いなので、横の柵を飛び越えてかけ下りる。
途中で登りやすそうな木を発見したら、その近くの丈夫な枝に手をかける。
そして、リズミカルに上に、前に進み。
最後は大きくジャンプして、鳥居の上へ飛び乗った。
(ばっちぃ…)
蜘蛛の巣、虫の死骸やらが沢山いるけれど、ここに座るわけじゃない。
「あ、お前!」
「…やっほ〜」
何故かスーツケースの大きなバックを持っている野薔薇に手を振る。
私のことが大好きすぎて、見つけるのが早いこと!