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【呪術廻戦】infinity

第42章 ばいばい


誰もいない静かなところに行きたくて。

高速を通って神奈川県のとある公園に車を停めた。



「…千夏が家に来るなんて思ってなかった」



悟はぼおっとした目で外を眺めながらぼやいた。



「…ちょっと外歩こう」

「僕、裸足」

「そこでビーサン買ってくるから」



車を出て近くのグッズショップで派手なビーサンを買って。

こんな柄は選ばないだろうな、なんて考えながら。



「派手だなぁ…」



そう言うと予想していたから、何だか嬉しくて。

けれど、隣に並んで歩いてくれないから、一足先に歩き出して浜辺に足を踏み入れた。



「見て、悟。今日は満月だよ」

「…そうだね」



何だか反応が鈍い。



「ムシムシする」

「今日は湿度が高いから」



話しかけるのも私から。

悟は歩きながら落ちていたゴミを拾って、端に投げて集めていた。



「さっき、どこに行ってたの?仕事?」

「うん」



違う。

私が欲しいのは返事じゃないんだよ。

その後の会話が欲しいのに。



何で。



「そうそう!悟が教えてくれたから、あれからすぐに足のしびれ治ったんだ」



元気に声を張っても。



「アレすごいよね。小さい時いつもやってた」



すぐに会話が終わる。



一気に喉が締まって、言いたいことが言えなくなる。

話を続ける気がないなら、話を振っても意味が無い。

砂に埋まった瓶を足で掘り起こす悟の背中が、とても遠くに感じる。



「…うそ、つき」



こんな情けない声を晒すことになるなんて。

悟はゆっくりこっちを向いて、眉を寄せた。



「私のこと、幸せにしてくれるって言ったじゃん…」



こんなこと言いたくなかった。

幸せにして欲しいなんて思ってない。

私は悟と幸せになりたいのに。

悟を責めるためにはこう言うしかなかった。

悟の意識を引くためには、この方法しか無かった。


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