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【呪術廻戦】infinity

第42章 ばいばい



『最近、色々と忙しくてね』

「へぇ。何か事件あったっけ?」

『アンタが休暇とってる間に色々と、ね』



休暇中とはいえ、そういう話は私の耳に入ってもおかしくないけれど、みんな気を遣ってくれたのだろうか。



『そこで、ようやく時間が取れた、と。愚痴大会だ、親友』

「…しょ…こ〜〜」



どうして彼女は私のピンチに駆けつけてくれるのだろう。

私が辛い時、悩んでいる時。

真っ先に声をかけてくれるのは、いつも硝子だった。



『なんでそんなややこしい事に…。秘密ってのを話すのは?』

「それは、無理なのっ…」

『だよね。言えないからこんなことになってるわけだし』



高級なカーペットが涙に濡れて、びしょびしょだった。



「…人って、生き返るの?」

『突然何?』

「医学的に、生き返ることって、可能?」

『…理論的には可能だよ。でも、まだ不可能』



まだ、不可能…。



『何考えてんの?』

「…別に」



じゃあ、どうして傑は生きてるの?

悟が殺さなかったから?

そんなはずはない。

悟のあの感情を疑うのは失礼だ。



『…知ってるの?』

「何を?」



声が消えた。



『…いや、何でもない』

「…まさか」



まさか。

硝子も傑のことを知っているのだろうか。

私だけ、という文言をみんなに言って。

実はみんな知っている…なんて。



『何?』

「…何でもない」



硝子が知っていようと、私は傑と誰にも言わないと約束した。

言ってはダメだ。



『今日泊まり来る?』

「…やめとく。明日、朝早いの」

『仕事再開したの?』

「まぁ、ね。冥冥さんの方だけど」



冥冥さんと仕事をするときは、大抵早朝か夜中。

人目につかないようにするのが第一条件で、それに加えて仕事的に夜の方がやりやすい。



『あ、ごめん。また仕事入った』

「そっか。もっと話したかったけど…」

『私もだよ。また連絡する』



ほんの10分程度の会話だったけれど、私の心は不思議と軽かった。

そして、緩やかな、まだまだ柔らかい覚悟が決まった。



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