第41章 蝶蝶喃喃
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辺りは騒然としている。
「…つまんね」
こんなものでは収まらない。
全てを出し切りたい気持ちだけれど、そうしたらどうなるかを予想できる。
自分の力を出し切ったことは無いけれど、自分の力の恐ろしさを知っている。
ブブブブブブ…
千夏からだ。
出ようか、出まいか。
そう悩んでいるうちに。
切れた。
まぁいい。
今千夏と話すことは無い。
まず自分の頭を冷やして冷静にならなくては。
大体、なんなんだ。
僕に嘘をつく必要があって。
しかも、僕の知らないところで死にかけて。
僕の知らない領域で泣いて、我慢する。
「くそっ……!」
僕が悪いのか?
僕が過敏になってるだけなのか?
千夏に危険が訪れて欲しくないと思うのは、僕のエゴなのか?
ピロン
ボイスメッセージが届いた。
『…悟。これは時間がある時に聞いて欲しい。上手くまとめられるか分からないけど、私が今思ってること…を、伝えます』
すぐに切った。
携帯の電源を落とした。
「はは…。僕って最低だなぁ」
もう分からなかった。
何に怒って、何に悲しんでるのか。
千夏には悪いけれど、しばらく1人にして欲しい。
千夏と話したくない、ということではなく、単純に1人になりたかった。
バゴォォォォォ…!!!
落ち着こう。
そして、自分に足りないものをみつけよう。
というか、平穏な未来のために、見つけなくてはならない。