第41章 蝶蝶喃喃
「やっぱり夏油と会ってたのね!?」
「うっ…」
「千夏の疑い晴らすために、どんだけ頑張ったと思ってんの!」
「…ありがとう」
「それに。それからどれだけ経ってると思ってんの!?1年近くだよ!?」
「は、はは…」
「笑い事じゃない!」
硝子が目を細めて睨んでくる。
同意見、ということだろうか。
「わ、私も何回か話そうと試みたんだよ!でも、いっつもふざけちゃうというか…」
「何照れてんのよ」
機会がないなら作るのみ。
でも、その全ての試みで失敗している。
そもそも時間が合わないというのが最もな理由。
週に3日、直接話せれば良い方だ。
こういう話は携帯越しにするものでは無いし、時間が限られている。
その上、直接顔を見たら色々と話したいことが別にあり、過去の話は二の次になってしまう。
会う時間が少ないのなら、特に必要としない、話すと長くなる……等といった話は省いて、できるだけ楽しいことだけをしたいと思うだろう。
「と言っても、大事なことは話したつもりだから…。話すといっても、この年はこんなことして…なんていう日記みたいなことになっちゃう」
「それでもいいでしょ」
「…五条のことだから、千夏の事だったらなんでも知りたいと思うよ」
五条に話したら、私達にも話すこと。
そして、お酒を奢ること。
だから、今すぐ電話をしてあげなさい。
息継ぎなしに約束を突きつけると、2人は予定があると言って帰ってしまった。
(ふぅ)
こんな気持ちで携帯を握るのはいつぶりだろうか。
きっと。
これも10年ぶりだろう。
深く、深く…深呼吸。
(…よし)
ハッシンボタンを押した。