第41章 蝶蝶喃喃
「甘えすぎっていうか…。あんたが自由すぎって感じ」
硝子が鳴り出した携帯をだるそうに見ながら、レスポンスをくれた。
「今まで何度か五条に相談されることがあったけど、あいつ、そうとう我慢してるよ」
「そ、それは分かってるけど…」
「でも、その分千夏も我慢してるから、って言ってた」
「…そういうところだと思わない?」
「何が」
「優しすぎるんだよ、本当に」
私は何も我慢してないし、わがままを言っているのは正真正銘のわがまま。
確かに、もう少し自由に恋愛をしたいし、日常生活において些細な苛立ちはあるけれど、それは仕方のないことで当たり前のことだから不満ではない。
だから、自分が可愛い私はどんどん悟の優しさに甘えてしまう。
嫌なら嫌と言って欲しいし、直して欲しいところがあれば言って欲しいし、至らないところがあれば怒鳴ってでもいいから怒って欲しい。
「そう言えばいいんじゃないの?」
「え?」
私の代わりにフルーツを食べ続ける歌姫が口を開いた。
「昔から思ってたけど、あんた達はお互い1歩どころか100歩くらい引いてるじゃん?」
「そう…なのかな」
「事情はどうであれ、ずっと一緒にいるつもりならぶつかったら?」
「でも、色々積み重なってて…。あの10年間のこと、ほとんど話してないし…」
「「それは話せ」」
2人にそう言われてしまったら居場所がない。
次いでに私たちにも話せ、と言われてしまったらどうしようもない。
「なんで話してないの?」
「別にやましいことしてないんでしょ?」
「秘密にするようなことなければ話せるのに」
まくし立てられれば、私が窮屈になるのも仕方ない。
「その、機会はあったんだけど…百鬼夜行の件があって」
「あんたが戻ってきたの、夏じゃなかった?」
「…実はそれより前に傑と会ってて」
「なっ…!?」「…」
「そのために色々と信頼を失うことをしちゃって。それはこっぴどく怒られたんだけど」
そのせいで私と悟のそれぞれの10年間を話す機会がなくなった。
そう伝えると、歌姫は私を罵倒し始めた。