第40章 宵闇
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「…私が悪いの分かってるんだよ?」
個室の病室に私の声が響く。
「嘘ついたことも、心配かけるようなことをしたのも、全部私のせいだから、悟が怒るのも仕方ない」
状況を整理するようにひとつひとつこぼしていく。
「でも、悟にだけは話せないよ。話すべきなんだろうけど、あの人には秘密にしてって言われたし。悟とあの人、どっちが大事なの?って比べるものでもないし」
ベット上で膝を抱えて、体を前後に揺らした。
「悟は恋人で、大好きな友達で、私の大切な人。でも、あの人も私の大切な親友。いくら、犯罪者でもね」
1度布団に顔を埋めて叫んだ。
「ねぇ、千春。私、どうするべき?」
私は頭が悪いから、自分の立ち位置からの意見を一番に考えてしまう。
「ねぇってば。拗ねてるの?」
だから、千春に意見を求めることが甘えだとしても、千春がいないと決断できないことがある。
「おーい、千春ー」
音が余韻を残して消えていく。
「…千春?」
腕がピクっと動いた。
「いい加減出てきてよ。そろそろ寂しいんだけど!」
千春とは2日…あと2週間ほど話していない。
喧嘩をした覚えもない。
「…ねぇ、千春!」
嫌な感じ。
大好きなお菓子が販売中止になったり、好きだった遊具が取り壊されてしまったり。
「嘘でしょ…?」
私は本当についていない女だけれど、こんなのはあんまりだ。
無意識に点滴を外し、ベットから降りた。
体に力が入らなくて、クラクラしながらもドアを開けて、知らない病院の廊下をスリッパで駆けた。
「あら、八乙女さん!どうし…」
「あ、あの…。と、トイレに」
「御手洗は逆ですよ。勝手に点滴取るなんて…」
違う。
トイレなんかに用事はない。
「や、八乙女さん!」
早く外へ。
そして、試さなくてはいけない。
唯一無二の姉妹の行方を、私は知る必要がある。