第5章 空蝉
灰原もこれから予定があるらしく、申し訳なさそうに去っていった。
1人でこんな所にいても可哀想な子というレッテルを貼られるだけなので、大人しく部屋に戻る。
『千夏、本当にヤバい』
義務教育はちゃんと受けてた。
けれど、成績は下の下の下。
ずっと遊んで暮らしてたから。
(流石にそろそろやばいかな)
棚の奥底に眠っていた本を取りだした。
(久しぶりに本でも読むか)
本に触れるなんて幾年ぶり。
記憶では新品の本も、黄ばんでいた。
コーヒー牛乳と飴を机の上に置き、読書体勢を整える。
それでも、すぐに飽きてしまう。
床に寝っ転がってみたり。
ベットの上に移動してみたり。
足踏みしながら読んでみたり。
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そして、いつの間にか寝てしまった。