第5章 空蝉
「単純すぎるんですよ」
安い地価の土地ばかり、ホイホイと買って。
よく止まるマスを観察せず、ホイホイと買って。
「ホイホイ、ホイホイ、言わないでよ。Gのこと思い出すから」
「…とにかく、私が強いのではなく貴方達が弱いんですよ」
確かに七海ちゃんは所有しているマスは少ないものの、よく止まってお金を払わなくてはいけなかった。
しかも、地価の高いマスを徹底して所有していたため、私達には非常に痛手となった。
「馬鹿っていいたいのか、馬鹿って!」
「そんなこと言ってません」
「ま、まぁまぁ。八乙女さんも落ち着いて」
私がいくら突っかかっても、七海ちゃんはしっかり淡々と片付けを進めた。
そして、一礼して去っていった。
「そんなに私と居たくないってか。あーそーですか」
「違いますよー。七海だって、裏では八乙女さんのこと認めてますから」
「そりゃそうだ。だって、私、特別だし」
「ははは……」
灰原のような愛想を求めてるわけじゃない。
もう少し、普通にお話したいだけ。
「…七海ちゃん、呪術師やってなかったらお金まわす仕事してそう」
「あー、今日凄かったですもんね」
「頭いい人って、金がどう動くか分かるんだろうね、知らんけど」
「僕達はお金で損しないように気をつけないとですね…」
「そう。そういう奴らは、私達みたいな純粋無垢な人達から金を搾取するもんだから。世の中どうかしてる」
でも。
七海ちゃん相手なら、いくら損にみえても信用してお金を使える。
本当に。
……これがいけないのだろうか。