第38章 心臓
「…ったく。千夏は夜蛾の子供か」
「私、こんなにイカつくないもん」
「千夏」
「…な、何?」
「いい加減大人になりなさい」
「…?私は大人だよ?」
本当にふたりの関係は謎だ。
俺が知っている限り、千夏は冥冥のことを嫌って避けていたはずなのに。
今は時々2人でどこかに行ってたり、今のように双方の盛り上がりは違うものの談笑したりしている。
何があったのか、と聞けば2人揃って。
”ビジネス!”
”ビジネスさ”
と、答える。
「そう言えば、千夏から携帯を預かっただろ?」
「うん、貸してって言われたから」
「さっきから連絡が途絶えないのだけど」
「えっ!そういうの早く言ってよ。冥冥さんのバカ」
なんのビジネスなのか。
冥冥のことだ。
どうせ…。
「やっぱり、悟から連絡来てた。この後学長と会うの?」
「ああ。こことは別の店で約束してる。予想より時間が経ったから、直接向かうことにするよ」
「ふーん」
千夏は器用に携帯を使い、ものの数秒で携帯をしまった。