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【呪術廻戦】infinity

第38章 心臓


*****


「言った通りだろう?」

「…ああ」



千夏の影が消えるまで、俺達は慎重に待った。

そして、話を始める。



「それで、千夏を足として使うって?」

「ああ。交流会に参加させる。もちろん、こっち側で」

「…あの状態の千夏を?」

「交流会までには治してもらうよ。夜蛾や五条の力で」



千夏を交流会に参加させる予定は全くなかった。

それはもちろん、アイツらの代の交流会が酷かったことが原因だ。

けれど、今懸念すべきはそれではない。



「やっぱり、虎杖の死が…」



朝、悟を呼び出して様子を聞いた。

やはり、精神的にキているとのことだった。

けれど、冥冥はピシャリと言った。



「違う」

「…?」

「あれは別の要因だね」

「どういうことだ」



冥冥は重箱の蓋を開けて中を吟味。

値段との釣り合いを考えている顔だった。



「宿儺の器が死んだと聞いて、最初に思い浮かんだのは千夏だったよ」

「…」

「なんだい、その顔は」



目の前の人間にそういった情があるとは。

正直驚いた。



「幼児退行した千夏は全く使い物にならないからね。そこは確認しておかないと、ビジネスに影響が出る」



せっかく俺が感心していたのに。

相変わらずハッキリとした酷い女だ。



「私が顔を出した時、千夏は泣いていたよ。理由を聞いたけど、教えてくれなくてね。まぁ、宿儺の器の件だろうと目星をつけた」

「…それで?」

「読みが外れたよ」



冥冥はお吸い物の蓋を開けて、香りを嗅いだ。



「は?」

「だから、読みが外れたと言っている」

「意味が分からない」

「…つまり、千夏は宿儺の器の件で泣いていたわけではなさそうだ」



全く、意味が分からない。

その根拠はなんだと聞くと、急かすなと強く言われた。


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