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【呪術廻戦】infinity

第37章 ユートピア



「ちょっと待っててくれ。少しだけ片付けてくる」



階段下で待たされた私は携帯を取りだした。

このことを悟に報告しようと思ったのだ。


(傑が生きてた…!)


その事実を再び受け入れると、胸に込み上げてくるものが多くて、また涙を流してしまった。

立っていられなくなった。




死んだ人間が生き返る。

そんなことがありえないことは知っている。

でも、死んだと思った人間が生きていたということはある。

今、この場においてそれが成り立っている。

成り立ってしまった。



「うっ…ぁはぁっ…!」



傑の死は皆が安全に過ごすためには必要だった。

だから、彼が生きているこの状況は望ましくないし、私は彼を殺すべきなんだろう。

でも。



「うぅ…」



嬉しすぎるんだ。

彼に再び会えたことが、彼の声を再び聞けたことが。

何よりも、どうしようもなく嬉しかったんだ。



携帯に届いている数件の着信に既読をつけた。

でも、返信は簡単にスタンプで返した。

傑の事は話さなかった。



「お待たせ。また泣いてるのか…」

「すっ…ぐるぅ…」



割れた卵だとか、肉の衛生管理だとか。

全てを無視して傑に抱きつき、そのまま彼の家へ足を踏み入れた。

殺風景な部屋だったけど、仮の住まいだと聞けば、なるほどと思った。



「何も無くて、すまないね」

「大丈夫…」

「ほら、ティッシュ」

「あり、がと」



彼はコーヒーを出してくれた。

私はコーヒーが苦手だけれど、時が経てばそんな些細なことは忘れてしまうか、と苦いコーヒーを喜んで口にした。



「そ、うだ。お菓子。沢山買ったから、食べよ?」

「う…。甘いものは苦手なんだが…」

「相変わらずだね。しょっぱいのもあるから、そっち食べよ」



そう言って、卵まみれの醤油せんべいの袋を取り出して、傑に見せつけた。

ぬめぬめした袋を見て、傑は笑った。

そして、ブツブツ優しい文句を言って外装を一緒に拭いてくれた。
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