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【呪術廻戦】infinity

第35章 むかーしむかしあるところに



*****


「いねーじゃん」

「…お手上げだな」

「ったく。ワンコールで出ろっつーの!!」



釘崎が携帯に勢いよく垂直に指を突き立てた。

カクっとなったようで、痛そうに人差し指を胸に抱えていた。



「こうなったら、五条先生に…」



連絡しよう、と携帯を取りだしたところで。



「「あ」」



タイミングよく五条先生が現れた。



「やぁ、どうした〜?」

「先生。アイツは?」

「あぁ。探してんの?」

「はい。どこにいるか知ってます?」

「知ってるよ〜。ついておいで」



五条先生が5歩、俺達が2歩歩いた時。

思い出したように、五条先生は指を立てた。



「そうだった。野薔薇〜、今から伊地知の所に行って、荷物持ってきてくんない?」

「荷物?」

「行けば分かるから」



そう言って、五条先生は釘崎の体を回転させて、背中をぽんと押した。

そして、俺の背中を押した。



「ちょ、伊地知さんはどこに…」

「よろしく〜」

「おぉい!」



すたこらと逃げる(去る)五条先生に押され、俺も猛スピードで廊下を走る羽目に。

明らかに野薔薇をさけたことは俺も、そしてきっと釘崎も分かっている。



「そこ左ね」



角を曲がってスピードを落とされ、普通に横並びに歩き出した時、俺は話を催促した。

とぼける五条先生を睨むと、いつもの軽薄な顔で宥められた。



「なんで釘崎を遠ざけたんですか」

「野薔薇はねぇ…千夏の大切な子だから。あ、恵が嫌われてるってことじゃないからね」

「別に嫌われてもいいです」

「そう強がらないで〜。野薔薇はちょーーっとだけ特別みたいなんだよ」



だから、俺は気にしないと言っている。

八乙女さんに好かれようと、嫌われようと、特に…。



「それで、話は?」

「オホン」



咳払いをした五条先生は、人差し指を立ててクルクルと回転させた。

そして、昔話をしてあげようと言った。


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