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【呪術廻戦】infinity

第35章 むかーしむかしあるところに


***


よく晴れた日の事だった。

村の子供達が広場に集まっていた。

どうやら、昨晩からこの村に観光客がやってきていたらしい。

子供達は異人に興味津々で、日が昇るや否や観光客を取り囲んだ。



彼らは1週間ほど前にこの地にやってきて、行けるところまで散歩しているらしい。

その割には荷物が少ないと思ったが、数キロ先の街に預けていると聞いて、納得した。

彼らを乗せてきたタクシーの運転手は、彼らを気前のいいお客さんだと言った。



「あの人たちね、魔法使うんだよ!」

「そーなのねー。楽しい?」

「うん!ぎゅーんってなるの!」



彼らが悪人でないことは、子供達の顔を見れば分かる。

魔法と呼ばれるものが何なのかは知らないが、危ないものでないのなら別にいい。

しばらくすると、観光客が私の家にやってきた。

娘が連れてきたようだ。



彼等は日本という国から来たカップルだとか。

仲がいいようで、とても微笑ましい。

この地に伝わる伝統の昼食を提供すると、2人ともニコニコして平らげてくれた。

そして、男が先程と違う言語を使って何か言っていた。

残念ながら、私の家は貧乏で学びを得られてない。

この地域で発展した言語しか、私は使えない。

その事をタクシーの運転手を通じて伝えてもらうと、運転手を通じて食事のお礼を言ってくれた。



食事が済むと、子供達は直ぐに彼等と外に出て遊び始めた。

特に気に入ったのは女の人の方らしい。

彼女が言っていることは男の人を除いて理解していないが、子供達は全員大笑いしている。

彼らの国で流行っている遊びであろう”うぉにごこ”というもので遊んでいるらしい。



子供達が遊び疲れた夕方頃。

彼等はタクシーに乗って去った。

彼等は…いや、彼女は去り際に私に向かって何か言った。

当然、私は理解できなかった。

今度誰かが…彼女の言葉を理解できる人がやってきたら、聞こうと思う。

だから、それまで正確に音を覚えておこう。

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