第34章 諦め半分、夢半分
「ずっと聞きたかったことがあるんだけど」
「何?」
「一時期、私のこと避けてたでしょ?高専1年の夏からと、私が任務に追われてた時」
「あー…」
「どうして?」
飛行機で行われたこの会話は別れ話のように聞こえるかもしれないが、全くの別物。
ずっと聞きたかったと言ったが、そこまで聞きたかった訳ではない。
悟がなんて言おうと本当にどうでも良くて。
大凡の予想はついているから。
と言っても、悟から直接聞きたい自分がずっといた。
「あんまし、情けない自分の話はしたくないんだけどなー」
「私はどんな悟でも、情けないなんて思わないよ」
「僕が思うんだよ」
あの頃の自分が子供過ぎて呆れる〜、と言って悟は機内食を頬張った。
そんなこと言ったら私もだ、と言って私は悟の機内食を1口貰った。
「本当に聞きたいの?」
「聞きたいな」
「本当に?」
「ほんとーに」
別々の味を楽しめるようにと違う種類のものを頼んだが、悟側のものばかり減っていく。
自分がハズレを引き当てた事に、少し不満を持った。
もちろん、自分のものも美味しいことには変わりないけれど。
「分かった。話すよ。でも、嫌いにならないでね」
私はフライドポテトを口に入れて、にっこりと微笑んだ。