第34章 諦め半分、夢半分
「真似するから写真撮って」
「はいはい」
悟が銅像に近づいて決めポーズ。
周りの人は悟のオーラに圧倒されて、そこから離れていく。
上手く人避けができ、悟と銅像のツーショットになった。
「Boys,be ambitious…!」
それに合わせてシャッターを押す。
隣にいたおじいちゃんが、”お~”と感嘆の声を漏らした。
「何それ。必殺技?」
「クラーク博士の名言でしょーが。教養なさすぎ」
「あー、あれね。大志を抱けって」
「それそれ」
何を見て感動したのか知らないが、お礼を言ってきたおじいちゃんが写真を撮ってくれると言ってくれた。
ありがとうと言ってカメラを渡し、悟の横に立った。
「こんな感じかな」
「こうだね」
悟に腕の位置を調節してもらい、2人並んでクラークポーズ。
「なんだっけ。ぼーいず、びー…」
「ambitious」
「あんびしゃす!!」
「ははっ!それはかめ〇め波でしょー」
おじいちゃんに手を振って、記念撮影。
「おじいちゃーん。もう数枚おねがーい。タイミングは任せるよー」
悟もおじいちゃんに手を振った。
サングラスの隙間から見える目が、やっぱり好きだと思った。
顔を見ていたことがばれ、悟がサングラスを渡してきた。
外で外すなんて珍しいと思いながらそれを受け取った。
「次何する?ピース?」
「こーやって…」
「わっ…」
腰下と背中に腕を回され、大きな手が頭に回ってきた。
体が傾き、そのまま唇を重ねてきた。
その流れで体が浮き、もう一度キスされた。
「こんなところで…!」
「はははっ!!」
周りからは囃し立てられ、からかう口笛が聞こえてくる。
穴があったらはいりたいとは、このことだ。
「ばか…」
満足そうに笑う悟。
私の訴えを無視して。
「好きだよ」
「…!」
「大好きだよ、千夏」
そして、もう1度キスされた。
おじいちゃんがとってくれた写真には、そんな様子が細かく残っていた。
そして、カメラを渡しながらおじいちゃんは言うのだった。
”若いねぇ”と…。
満面の笑みを添えて…。