第4章 祓う者と殺す者
「…うえ。これは一気飲みする量じゃねーや」
ま、とにかく。
「傑の術式が羨ましいよ。本当に羨ましい。呪霊も非術者も助けられるなんて。最強じゃん」
通常、一人につき一術式。
生まれたときから体に刻み込まれている術式しか使えない。
でも、私は違う。
「私が使えるようになるまで、傑には1人で頑張ってもらおうか」
「…まだ諦めてなかったのか」
でも、私には使える可能性がある。
「もちろん。だって私は…」
「「特別だから」」
「え?」
傑はスッキリした面持ちでせんべいを口に放り込んだ。
「千夏は自分のことが大好きみたいだな」
「別に好きなわけじゃ…」
「俺が何を言うか予想できるくらい、自分のことを『特別』だって言ってるのに?」
特別という地位に立つことは難しくなかった。
けれど、1度も望んでたったことは無い。
「2つ」
「…2つ?」
「2つ質問がある」
悪い予感がする。
傑が笑っているだけなのに、この不安感。
「いいよ」
けれど、断る言い訳が思いつかない。
「1つ。千夏はどうして特級に?」
「それは私が」
「「特別だから」」
ジワジワと、張り付けの笑顔追い込まれる。
「…」「これを理由にするのはずるい」
だから、黙るしかなかった。
逃げと捉えられてもいいから、黙っている必要があった。
「2つ。こっちの方が本命かな」
「…何」
「千夏の”本当の”術式は何?自分の術式の影響もあるのかな。初めて会った時から、少し違和感があってね」
傑は私に手を伸ばす。
白い制服に、手を伸ばしてきた。
と、その時。