第33章 紙一重
私は普通の人ではない。
呪術師として働いていることはもちろん、昔に死んだ姉と話すことができるし、頭は飛び抜けて悪い。
昔、姉に言われた。
お前は女であること以外、他人と共通点がないと思え、と。
本当に酷い言い草だ。
そんな私には運命とも呼べる出会いが2度もあった。
1度目は私に全てをくれた。
空っぽの私に美しいものを沢山くれた。
2度目は私に全てを思い出させてくれた。
美しいものだけでなく、醜いものも。
けれど、どれも私に必要なものだった。
当時、私は悩んでいた。
自分のこれからの人生がお先真っ暗で、これからどうするか。
そもそも、良くないことがどんどん重なり、疲れていた。
それは体の不調にも繋がっていて、生理が一時止まった。
肌はカサカサで、毎日不眠気味。
その原因は痛いほど分かっていて、1つは呪術界に追われて大切な人に会えなくなったこと。
そして、もう1つは育ての親の状況だった。
私の育ての親、しーさんこと、本名、八乙女千佳さんは、いわゆる精神病を患っていて、調子のいい日は問題ないのだが、調子が悪いと数日ほど部屋にこもってしまう。
私が再会した時、千佳さんはそんな状態だった。
私のことを覚えてくれていたことは嬉しいけれど、千佳さんがそうなってしまったのはあの件がきっかけ。
私は1度顔を合わせて千佳さんの前から消えようと思ったけれど、千佳さんは私を未だに愛してくれていた。
また来てね、と言ってくれた。
だから、私は毎日会いに行ったけれど、時々会えなくて。
次第に会えない日が増えていった。
会えても、辛そうに笑う日が増えてきた。
けれど、千佳さんは私が消える方が辛いと言って、笑った。
そう。
今の私みたいに。