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【呪術廻戦】infinity

第32章 世代交代の道標



「どうしたんだろう…」

「知らねー」



一か月以上一緒にいるのに、Qのことを何も知らないのだと、あらためて気づかされた。

別に知りたいわけじゃないが、胸がもやもやした。



「帰ろ」

「う、うん」



ここにいても意味がない。

Qを追いかけるほどのことでもない。

だから、踵を返した。

すると、向こうからあのおばさんたちが戻ってきた。



「2人とも…大丈夫…!?」



おばさんに腕をすりすりされ、何度も安全確認された。

私たちが持っていたお菓子や飲み物はすべて強引に奪われた。



「最近帰りが遅いって、お母さんたちが心配してたわよ」

「あんな怪しい人についていったらだめじゃない」



怪しい人。

そう、Qは怪しいのだ。

反論材料がないほどに。

それでも、私たちは微力ながら反論した。



「あの人は大丈夫なんです」

「良い人なんですよ。一緒に遊んでくれるし…」

「腰に物騒なものを付けた人が、大丈夫なもんですか!」



私たちは見慣れてしまったが、Qは腰にナイフをつけている。

森で過ごすには、一本あって不便なしだと言っていた。

よく思い出してみると、村を歩くときはいつも身に着けていなかった。

だから、今日のQは自分のミスに気付いてイライラしていたのだろうか。



「モノで餌付けなんて…酷い人!」

「野薔薇ちゃん、ふみちゃん。次あの人を見かけたら、近くの人に声をかけなさいね」



確かにQは怪しい。

名前も仕事も、何も教えてくれない。

そんな人と一緒にいる私たちがおかしいと言うことは、理解している。

でも、変なこととか、私たちが嫌がるようなことは一切しない。

Qがくれる食べ物はいつも個包装で、Qが作った食べ物は、私たちが食べたいと言ってもくれない。

毒虫や毒草などは、見つけたら注意してくれる。



「返事は~?」

「「…はい」」



ふみは泣きそうになっていた。

私だって泣きたい。

沙織ちゃんにも同じような扱いをしていたと考えると、涙が零れそうになる。


今回はおばさん達が正しいのかもしれない。

でも、Qを、沙織ちゃんを非難しないでほしかった。


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