第32章 世代交代の道標
「いいね。ちゃんとイカレてた」
正直なところ、千夏のような思想を持っている子だと思っていた。
しかし、大多数の呪術師同じ種のイカレっぷりであったため、少し驚いた。
野薔薇は千夏が嫌いだと言っていたから、それゆえなのかもしれない。
「…なんか、釘崎って八乙女さんに似てません?」
「あは。僕もそう思う」
「虎杖の状況話した時の反応、全く一緒でしたよ。1年くらい一緒にいただけで、ここまで似るもんすか」
「じゃあ、いつかは恵も僕に似てくるんだね」
「やめてください。まじで」
そうなのだ。
千夏と野薔薇は一緒にいたと言っても1年程度。
それ以降は全く連絡を取っていなかったという。
しかし、千夏といい、野薔薇といい、二人して互いのことを意識しすぎだ。
一体どのような1年だったのだろうか。
濃い時間だったに違いない。
…その中で互いに対して得られた評価は、真逆だったけれど。
「ねー、野薔薇」
「なんですかー」
「何で千夏が嫌いなの?」
「えー…。普通に性格が無理」
(((どの口が言ってんの)))
「それに、ちょっとトラウマあるし…」
「トラウマ?あぁ、なんだっけ。森を半壊させたやつ?」
「…何で知ってんすか」
幼い子にトラウマを与えるなんて。
後で半壊させた理由を聞いてみよう
「でも、私がここにいるのも、アイツのおかげだって思うと、感謝しないと…みたいな。認めたくないけど」
恵が真剣に話を聞いている。
珍しい。