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【呪術廻戦】infinity

第32章 世代交代の道標




「おまっ…!命知らずな奴だな」

「はぁ?」



恵に解説を求めると、どうやら悠仁は千夏を怖がっているらしい。

昨日の空港での出来事が原因らしいが、僕には全く心当たりがなかった。



「そんなこと言ったら、殺されるって」

「誰に」

「八乙女さん以外に誰が…」

「はっ。ないない!笑わせないでよ」



腹を抱えて笑う野薔薇。

首をかしげる僕たち。



「…なんでこの人笑ってんの?俺、なんか変なこと言った?」

「お前は八乙女さんにビビりすぎだ」

「そう、アイツなんかにビビってるお前が面白すぎて…あはは!」



千夏同様、笑い声がでかい。

道行く人にじろじろと見られる。



「はぁ…。先生、これからどっか行くんですか?」

「フッフッフ。せっかく1年が3人揃ったんだ」



千夏が以前言っていた。


『野薔薇の頭、ちゃーんと”イカレてる”からね』


それはどうだろうか。



千夏は自分を殺しに来る生き物を殺すのに、ためらいを覚えること以前に、殺さないと決めているから。

ためらいを覚える段階を経験していない。



そのためらいによって得られた時間が恐怖を生み、その恐怖故に呪術師になれなかった人がいることを。

千夏は知らない。



でも、千夏が”イカレている”と評した子だ。



『野薔薇を初めて見たときに、私感動しちゃったんだ』



命について僕がどうこう言う必要はない。



『ぐちゃぐちゃの死にかけたカエルを掴んで、助けようとしてたの』



人見知りな千夏が自分から声をかけたのだから、僕も野薔薇には期待している。

だから、僕も野薔薇のイカレっぷりを見てみたい。

今日はそれを確認するだけだ。

千夏がいないことが、非常に惜しい。
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