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【呪術廻戦】infinity

第4章 祓う者と殺す者




「私は……、できることなら誰も殺したくない。誰にも死んで欲しくない。だから、呪霊を殺したくない。演繹チックでしょ?」


傑は顔をこちらに向けて、眉を上げた。


「呪霊が対象に入ってることに驚き。それに、”祓う”じゃなくて、”殺す”を使ったことも」
「それは…。傑は知らないんだよ…」
「何を?」
「言葉の呪い」



心の芯が冷えていくような気がして、自分の二の腕を掴んで暖を取る。
全く効果は感じないけれど、しないよりはマシだ。


「傑は虫を殺せる?」
「殺せるね」
「じゃあ、人間も殺せる?」
「呪術師だと厳しいかもね」
「そういうことじゃなくて。心の持ちようの話だよ。躊躇いもなく人間を殺せるかってこと」


傑は少し悩みながらも、はっきりと答えた。


「それは…無理、だろうな」
「どうして?」
「どうして、って?」
「どうして虫は殺せて、人間は無理なの?」


傑は肩幅に脚を開いて、そこに肘をつき頬ずえをついた。
頬を叩く指がリズミカルな印象を与える。


「…何となく。何となく、千夏が何を言いたいか分かった」


力なしに笑ってみせた。
ちゃんと笑えているかどうかは、傑にしか分からない。


「千夏は……」


ふと前を見ると、ミラー越しに補助監督と目が合った。
その目は私が警戒しなくてはいけない種だった。


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