第4章 祓う者と殺す者
傑は『分かった』と渋々了承してくれ、取り込み予定だった呪霊を丸め、飲み込んだ。
「これで満足か?」
「どうやったら丸くなるの?」
「それは……説明できないな。難しい」
それはそうだ。
私だって、どのように言葉に力を与えているかと言われても、答えられない。
「……実際に飲み込んでみたら、使えるようになるかも」
「本気で言ってる…のか」
「うん、何か問題でも?」
「全てだよ」
何度頼んでも傑は首を縦に振らなかった。
不味いからオススメしない、と。
もう一度最初から説明してくれ、と。
そう言うばかり。
「話すと長くなりそうだな。とりあえず、任務を終わらせよう」
「…分かったよ。じゃあ、私見てるから。あとよろしく」
「なんでそうなる」
「だって、私いらないでしょ。あ、動きくらい止めとく?」
────動くな────
「はい、後よろしく」
呪霊が美味しければ、率先して呪霊を取り込むだろうに。
不味いものを食べなくてはいけないなんて、少し可哀想だ。
「お疲れ様です。すぐに高専に戻りますが、よろしいですか?」
「もち」「はい」
車に乗りこみ、現場を離れる。
呪いさえなくなれば、ただのガランとした寂しい建物。
建物の姿が見えなくなった頃、傑が話の続きを始めた。
だが、私の目線は常に窓の外にあった。
「説明」
「何から話していいか分からない」
「じゃあ……」
この会話、補助監督に聞かれてもいいのだろうか。
私の思想はかなり危ないものだけれど。
「『呪霊を殺さない』ってどういうこと?」