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【呪術廻戦】infinity

第30章 疲れとストレス


*****

目が覚めると、そこは病院で。

病院独特の匂いがした。

ズキズキと痛む頭に手を伸ばしてみれば、大層に包帯が巻かれていた。

時刻を確認するべく、カーテンを開けると、窓の外はまだ真っ暗で、あれからどのくらい時間が経過したのか分からなかった。


ベットの隣に置かれている小さな棚の上にメモが残されていた。

『明日の朝か昼頃迎えに行くからねー by 五条』

つまり、明日までここにいろと…。



「ん〜……」



隣のカーテン内から聞き覚えのある唸り声が聞こえてきた。

スリッパを履いて人様のカーテンの中をチラリと覗くと、そこには点滴を打って眠る八乙女さんがいた。

虎杖が指を喰った時に目を覚ました八乙女さんは、見るからに様子がおかしく、手に触れてみるととても熱帯びていた。

だから、目の前で苦しそうにする八乙女さんが、熱にうなされていることは説明されなくても分かった。



「…さと、る?」



うっすらと潤みまくった目を開けた八乙女さん。

五条先生と俺を勘違いしているのか、手探りで俺の手を握ってきた。



「違います。伏黒です」



力のない手を優しく振り払った。

すると、八乙女さんの目から涙が零れた。



「行っちゃうの…?また…置いてくの?」



泣いている八乙女さんも。

ここまで弱っている八乙女さんも。

縋るように鳴く八乙女さんも。

見るのは初めてだった。



「行かないで…、1人は…やだよ」



また。

八乙女さんが手を握ってきた。

今度は振り払わなかった。

八乙女さんの顔が、少し和らいだ気がした。



きっと、五条先生は今、とても不安だろう。

虎杖なんか置いて、こうやって八乙女さんの手を握りたいはずだ。

そして、八乙女さんも五条先生を求めている。

その事を五条先生自身が1番分かっているはずなのに。

大切な人を置いてまで、呪術師として生きるなんて。

やっぱり、五条先生は”大人”なのだと思う。

そして、八乙女さんはその力を俺に求めている。

けれど、俺は…やっぱり”子供”だ。



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