第4章 祓う者と殺す者
「わぁー、ここかー。何か陰気臭くね?」
「嫌な雰囲気。早く終わらせよう」
とてもそう感じているようには見えなかった。
薄ら笑いを浮かべていたから、気味が悪いと率直に思い、つい言ってしまった。
怒られるかと思ったが、ニコッと笑われただけで、再び気味が悪いと思った。
「傑の術式、初めて見る。楽しみ」
「私もだよ」
ここに来る前からどんなものか何度も聞いたが、『実際に見た方が早い』と言われて、ここまで伸ばされた。
期待度MAXのこの状態で、私の期待を越えられるのだろうか。
結論から言うと。
「千夏…?どうした?」
最っ高。
目の前の状況が信じられなくて、動きが止まる。
「な、に。そんなの、待ってよ…。本当に?」
「そんなに驚くか?」
「だって、私…、私が…ずっと…」
────呪霊操術────
降伏した呪霊を体内に取り込み、自由自在に操ることを可能とした術式。
「ずっと、探してた…」
「何を?」
「呪霊を……、殺さないでいい方法」
傑は驚いていた。
呪霊を殺さない?
何を言っているんだ…なんて。
そんなことを口にしていた。
「それ、どうやんの?」
「…は?」
「やり方教えて」
戦闘は全て傑任せ。
私はとにかく呪霊操術を使いたくて、仕方なかった。
「千夏がこの術式を使うって?」
「はは。できるから。大丈夫。できるから、教えてよ」
腹から笑いが込み上げてくる。
乾いた笑いだ。
おかしくて、おかしくて、息が吸えない。
「何言って…」
「いいから!」