第30章 疲れとストレス
「大丈夫か?」
「逃げろつったろ」
「言ってる場合か」
言ってる場合なんだよ。
八乙女さんが戦闘できず、俺の術式は途切れた。
それに、虎杖がどんなに強くても、呪いは祓えない。
「呪いは呪いでしか祓えない」
「早く言ってくんない?」
八乙女さんの刀があれば、何とか太刀打ちできたかもしれないが、今更取りに行っている余裕はない。
「早く目ェ覚ませよ…」
そもそも、八乙女さんが気絶していること事態がおかしい。
ああ見えても、五条先生と同じ特級だった人だ。
「なぁ、何で呪いはあの指狙ってんだ?」
「喰ってより強い呪力を得るためだ」
「なんだ。あるじゃん、全員助かる方法」
「あ?」
「俺にジュリョクがあればいいんだろ?」
「なっ…!馬鹿!!やめろ!!」
虎杖が呪物を飲み込んだ。
大変なことに…なった。
益々八乙女さんの力が必要にな状況になった。
(八乙女さん…!)
彼女は虎杖の先輩達と並んで眠っている。
何故だ。
どうして。
八乙女さんは…。
『私、頭おかしいからさぁ。呪霊相手でも情けをかけちゃうんだよね。”千春”はいい加減やめろって言うけど…。変えられないんだよなぁ』
「動くな」
「は?」
『私はルールとかどうでもいいんだよ、本当に。自分がやりたいことをやる。周りに反対されたら、納得させればいい』
ダメだ。
できない。
自分の私情を挟むべきじゃない。
「呪術規定に基づき、虎杖悠仁…。オマエを────」
『だから、皆もやりたいこと、自分の気持ちに従いな。もしもの時は私が責任取るから』
それでも、ダメだ。
八乙女さんのように筋の通ったものでないから。
「呪いとして祓う」